ファミリー・ツアー
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 今回の打ち上げは予定よりも1日延期されたため、他の行事も一日ずつスライドして行われました。打ち上げに立ち会う遺族や、友人たちは、18日から宿舎となるスペースポートインホテルへ集まり始め、それぞれがこれからはじまる一大イベントへの期待と、不安の面もちを見せていました。翌日19日には、基地内の打ち上げ施設を見学するファミリーツアーが行われます。

 一夜が明け翌19日 12時。集合場所のホテルロビーには、2〜3組のテレビ局取材クルーもいて、やや張りつめた空気が流れていました。遺族たちも少し緊張した様子。そんな雰囲気をやわらげるように、宇宙葬の開発元であるセレスティス社のスタッフたちは、終始にこやかな表情でマスコミや遺族たちの対応をしていました。
 13時になりいよいよ出発。3台の黄色い大型バスに乗り込んだ一行は、見渡すかぎり乾燥した大地の一本道を一路ヴァンデンバーグ基地へ。ホテルから基地までは近く、5分ほどでゲートに到着。迷彩服を着た案内役の兵士がバスに乗り込み、基地での注意事項などの説明を行いました。レクチャーが終わると、いよいよ基地内部へツアー開始です。


 中に入るといきなりICBM(大陸間弾道ミサイル)や戦車が飾られていて、圧倒されます。この基地は、アメリカで最初のロケットが打ち上げられたところで、冷戦時代には対ソビエトのミサイル発射基地でもあったそうです。敷地は日本では想像もつかないくらい広く、見渡すかぎりの荒野にポツポツと建物や打ち上げ台のようなものが点在しています。遺族たちもその規模の大きさに驚きながら、案内役の兵士の説明に聞き入ったり、窓から記念写真を取ったりと、それぞれがツアーを楽しんでいる様子です。いくつかの打ち上げポイントを見学した後、バスはいよいよ今回の打ち上げに使われる衛星ロケット・トーラス2号が設置されている発射台へと向かいます。


 丘をいくつか越えて走っていると、突然バスの右手に海が現れ、そしてその海岸線の先に目を凝らすと、遠くにひときわ高く真っ白なTAURAS2号の姿が見えてきました。バスの中は色めき立って、皆カメラを手にさかんにシャッターを切り始めます。発射台に到着すると一行は待ちきれないとばかりにバスを降り、ロケットのもとへ。そびえ立つその姿を目の前にして、遺族達は感嘆の声を上げたりため息をもらしたりと、その表情はとても感慨深げです。それは、この中には彼らの家族や友人の遺骨を納めたカプセルが搭載されているからでしょうか。

 セレスティス社によると、カプセルは計算上約1000年間地球周回軌道上を周り続けるそうです。1年前にご主人を亡くした道野さんはそれを聞いて、同行した妹さん 達と「じゃあ、永遠に見守ってもらえるね」と、うれしそうに話していました。他に も、ロケットを見てはじめて宇宙葬を実感したという方も多く「ようやく夢を叶えて あがられる」という声も聞こえてきました。

 ロケットのそばをなかなか離れがたい様子の一行を乗せ、バスは帰路へ着きます。 ファミリーツアーは、施設の見学ということ以外に、「宇宙への旅立ち」という言葉 の意味を遺族や友人たちに実感してもらう、そんな意義があるんだなと、夕日に赤く 染まったトーラスを見ながら思いました。





メモリアル・レセプション   ロケット打上げ